繋がっていく
観る映画が本を読むきっかけになったり。
またその逆だったり。
私はその流れの中にいるのを心地いいと思う。
寒いからと本棚から引っ張り出した「チョコレートな夜」
冬のおすすめ映画はないかなと探していると、
「ユーガットメール」のページで手が止まる。
お茶とブランケットで準備ばんたん。
NYの寒い冬の世界にひたる。
メグライアンは本屋のショップガール。
寒い外の世界と本屋とお家のいかにも温かそうな空間。
映画の中で、メグライアンが好きな本が『プライドと偏見』なのだった。
あ、そういえば見たかったんだこの映画、と私。
相手役のトムハンクスに
パタパタとメールを打つメグライアンがチャーミング。
「プライドと偏見」を観た私は当然のごとくハマリ、
今原作の「傲慢と偏見」を読んでいる。
「(主人公ふたりの)どっちが傲慢でどっちが偏見だっけ?」と言う
トムハンクスが可笑しい。
12月は仕事で三度ほど京都に行く機会があった。
冬の京都とは縁があるようだ。
ほとんどの木々から葉が落とされ、
もみじだけが最後の華やぎを見せていた今年はじめての京都。
寒いお寺の廊下を歩きながら見た、
東福寺のモダンな市松模様。
ずっと居座ってしまいそうな温かな空間の本屋。
夜の関西日仏学館のカフェで、もう一泊京都にいようと決めた。
今年も残りわずか。
みなさん今年もありがとうございました。
Merry X'mas!
2008.12.25
2 Days in Edinburgh
今年の秋冬はタータンチェックが大流行!
この夏、そのタータンの本場スコットランドへ行ってきました。
エディンバラの町並み
私が好きなタータンの柄はブラック・スチュワート。
でもお店に並ぶタータンを観ていると、
スチュワート、ロバートソン、マッケンジーなど
英国の苗字だらけ。
そう、タータンは一家の紋章的役割をしているとのこと。
自分の家族だけのタータンがあるなんて、なんだかかっこいい。
スコットランドの首都エディンバラでは毎年、夏の祭典が開かれ盛り上がる。
私はオスカーワイルドの唯一の長編小説を原作にした、
ダンス『ドリアン・グレー』を観た。
ある日、画家のモデルになった美しい青年ドリアン・グレーは、
描かれた肖像画のあまりにも素晴らしい出来に、
そして居合わせた画家の友人に言われ
初めて気づいた若さの偉大さに取り乱し、
自分の代わりに肖像画が年をとればいいのにと口走る。
そして願いは叶えられてしまう・・・。
一見ファンタジーなこの小説は、
肖像画と青年とが、何かを象徴しているようで、
でも考えるほどその重要な意味から遠ざかってしまう、
不思議な魔力を持った本だった。
都市にはそれぞれ香りがあるという。
ある人は言う、
「私はロンドンの空港の匂いが好き。帰ってきた気がする」と。
そしてある人は「東京ってどんな香りがするの?」と私にきく。
東京は慣れすぎていてわからないけど、
エディンバラの香りはずっと忘れない。
最初、誰かがお菓子を焼いていると思ったその甘い香りは、
滞在中ずっと続いて、
私をスコーンLove人にした。
2008.9.18
残像
新しい家具が部屋にきた。
アメリカに引っ越す友達からいただいたもの。
そこだけ不思議に新しい感じをかもし出している。
一瞬、この部屋が誰か他の人のものだったら
というアイディアを思いつく。
そのアイディアがこの部屋をより素敵な場所にしてくれる。
先月はパリに行ってきた。
最初雨ばかり降っていたパリに一足早く夏のような太陽が差し始め、
それは滞在中ずっと続いた。
ギリシャの太陽のようだと思いながら歩いていたが、
考えてみるとギリシャに行ったことがない・・・。
美しい風景がたくさんあった。
チューリー公園の一角にある野外レストランで、
晩餐の友の到着を待っている間に撮ったもの。
ちょっと手が変な角度みえる写真だが、
見る角度で全然違うから、
どの角度見たら一番美しく見えるのかということをやっていると、
結構時間がすぐ経ってしまう。
気づいたら友達はとっくに着いていて、慌ててレストランに戻った。
実はまだエッフェル塔に上ったことがない。
初めて上ろうと試みたときにはストライキで閉鎖されていた。
次は、去年。
コインランドリーでエッフェル塔が主役の物語をきいて、
また上りたくなった。
が、高いところ苦手だと知った時だし(ロッククライミングで)、
ふもとまで行ったら足がすくんで、
結局芝生に座って、
キラキラと光り輝く対戦相手を見上げていた。
そして今回、背景の一部と化した。
いつきても、パリの象徴としてキラキラ輝いていることに変わりはない。
学校が終わったあとは、散歩をするのが日課だった。
ブローニュの森やモンマルトル墓地が新たなる散歩スポットに加わった。
ブローニュの森は友だちに一人で行くなと警告されていたが、
結局気になって行った・・・!
昼間は子供たちが遊んでいたり、
水着姿で日光浴をしている人がいたり、
いたって平和な雰囲気だったけど・・・。
ただ、地図で観るとどれだけ大きな森なのかわかるが、
住宅が並んでいる入り口沿いをぐるっとまわっただけなので、
かえって内側の謎が深まる結果となった。
中には高級レストランが一軒あるらしい・・・
モンマルトル墓地の静けさ。
夫婦が散歩したり、読書している老人。
大きな柏の木から差し込む光が、
石畳の地面にモザイクのような影をつけていた。
その美しい残像はまだ頭に残っていて、好きな時に思い出せる。
2008.6.13
ウィリアムズバーグ
毎年、上半期はすぎるのがはやいですね!
日記書くのひさしぶり・・・。
すこし前になりますが、ニューヨークへ行ってきました。
今回は前から行ってみたかったブルックリンにも少し滞在でき、
興味津々だったWilliamsburgに行くことができました!
町並みはこんな感じで、主体になるのはBedford大通り。
あとは左右の道にそれて、自分のお気に入りのお店を探すのも楽しい。
私が立ち寄ったのは、古着屋さん、レコードショップ、
インテリアショップ、古本屋さん、洋服屋さん
ジュース・バー、カフェ。
一日ではとても全部は見切れませんでした。
古着屋さんで80年代っぽいヴィンテージの黒に
ゴールドの糸が織り込まれたセーターを格安で買ったのち、
レコードショップに立ち寄ったら、
シンディーローパーのレコードが1ドルと
これまた安いというか、
ほとんど持っていってといったかんじ。
こちらも即買い。同じ80年代だし。
シングルの「what's going on」という曲で、
聴いてみたら、反戦運動で有名なあの名曲でした。
ジャケットが、写真家マン・レイの撮った「ガラスの涙」のパロディーと
後から知りましたが、久しぶりのジャケ買いでした!
この日、もう一つ興味深いかったことといえば、
バスで降りる場所を間違えたことで遭遇した風景。
ジーパンにコート姿の私が降りたのは、ユダヤ人の住む地区でした。
すれ違う人は皆、
黒のコートに毛皮の大きな帽子といった
トラディッショナルな格好をした人ばかり。
イースター前で、皆、パーティーに向かうのか、
お盆のような大皿にご馳走を載せて、
歩いていました。
不思議だったのが、
ハロウィンの時にかぶるような仮面をして歩いている子供たちの姿・・・。
もっと不思議だったのが、
その中では私の格好の方が普通でなくなるということでした・・。
ニューヨークは行く度に新しい一面を見せてくれます。
例えばSohoのように、前はアーティストが住んでいたけど、
ショップがたくさんできて観光地化されると、
彼らはその場所を離れ、
それが新たな地区を生む。
まさにウィリアムズバーグのような。
こうしてニューヨークは常に変わっていくから、いつ行っても新しい。
そうそう!
今公開中の映画、『クローバー・フィールド』もNYの話!
手持ちカメラ風の映像による、スリリングで、
ある意味で(観てのお楽しみ)怖い映画ですが、
毎日を平和に過ごせていることに感謝することを思い出させてくれる、
素敵なエンディング!!
2008.4.21
春の到来・・・ミスターロンリー
渋谷のスペイン坂にできた行列。
日曜日にミスターロンリーを観ることはあきらめた。
マイケルジャクソンとしてしか生きられなかった男性が、
マリリンモンローとして生きる女性に出会ったら・・・というフレーズ。
湖で虹色のボートに乗っている偽マイケルと偽モンローの姿には、
公開前からひきつけられていた。
ものまねをする孤城の住人たちはパフォーマーでありながら、
監督のハーモニーコリンは彼らを使って私たちを
笑わせようとは決してしていない。
パリの路上やスコットランドの海辺で
マイケルジャクソンがポーズを決めても、
静かに見てるしかない。シュールってこうゆうこと?
マイケルは次々とポーズを決めていく。
その姿は誰かに対してというより、自信がなさそうで、
練習しているかのようだ。
そうか、練習しているんだ・・・。
マイケルはマイケルとして生きることを練習している。
そして私はパリの路上でマイケルを見ている・・・
ような錯覚にとらわれる。
そして
パラシュートを背負わず空中ダイブをする尼さんの神々しい姿が、
別のストーリーとして、
マイケルとモンローの物語の意味合いを濃くしている。
マイケルはアイデンティティーを問われるのだけど、
これも人ごとではない。
私も問われた。
Who are you? と質問された。
それに加えてWhere are you going? も聞かれた。
ハーモニーコリン監督のすごいところは
全部詩的な意味合いでそういう質問を投げかけてくるところだと思う。
彼の詩が直球だから直球で答えなきゃと思う。
マイケルに答えてあげたくなったように。
少しは笑ってあげたほうがいいのかなとか。
ロンリーという言葉が前面に押し出されている映画なのに、
奇跡というテーマをしょっていて、希望が見える。
春の予感を少しずつ感じさせる東京の冬空の下で、
もう少しの間だけ寒さのなかに佇んでみてもいいかな
と思わせる映画だった。
寒さや一人でいることは考える時間をくれる。
春のうっとり感では達成できないこと、
見えなくなってしまうことがたくさんある。
それはミスターロンリーの世界に
しばしとどまっていたいと思う願望でもある。
ほんとは寒さは苦手な私なんですけど・・・
2008.2.20
Seeing "Paranoid Park" on a Snowy Day
2008年1月23日 東京に初雪が降る。
起きて窓の外を見た瞬間、あっ・・と思った。
今日はパラノイド・パークを見に行く絶好の日だ。
パラノイド・パークはガス・バン・サント監督の新しい映画。
オレゴン州ポートランドで様々な映画を製作している監督。
ポートランドは機会があったら是非行ってみたい場所。
オレゴンには一度夏にキャンプでいったことがあって、
夏なのに随分寒いところだなぁと感じて、
朝、雪景色を見てハッとしたのはそんなことからです。
デヴィット・リンチの映画をみるようになった影響かもしれない。
最近は空気の重たそうなミステリアスな場所にも惹かれます。
「被写体に寄る」ということが
今までの彼の作品からすると異質と話題の『パラノイド・パーク』。
なめらかなスケボーシーンと同時に、
主人公の高校生の寄りが確かに印象的。
寄りは人の感情をキャッチするはずなのに、
この男の子からは何も読み取れない。
ただ綺麗と感じるだけ。
でもそれが高校生のあり方だった・・とハッとさせれてしまう。
無感情、冷静さ。
今が花といわれるのは結構こわいこと。
本当は大人になった方が楽しいのかもしれないのに。
でも超えてみないと何がいいなんてわからないのかもしれない。
2008.1.23
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